けい酸塩系表面含浸材が適用不可となる条件
けい酸塩系表面含浸材が浸透しない可能性の高いコンクリート
けい酸塩系表面含浸材が適用不可となる条件
共通 :表面含浸材が浸透しない様な緻密なコンクリート等
反応型 :中性化が進行し水酸化カルシウムと反応しない領域
農林水産省「農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル【開水路編】」には、表面含浸材が「適用不可となる条件」として「含浸材が浸透しない様な緻密なコンクリート等」と案内がでています。
反応型けい酸塩系表面含浸材については、「中性化が進行し水酸化カルシウムと反応しない領域」についても適用不可となります。【反応型】は、水酸化カルシウムとの再反応性があり長期間効果を期待できますが、中性化によりコンクリート表層部の水酸化カルシウムが消失している状態では、化学反応が発生し難く、コンクリート表層部を改質(緻密化)することができないのでご注意ください。
※固化型けい酸塩系表面含浸材は、中性化によりコンクリートの表層部の水酸化カルシウムが消失している状況でも、主成分の乾燥により生成される難溶性固化物が、コンクリート表層部を改質(緻密化)します。
農林水産省「農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル【開水路編】」より
緻密なコンクリートの例
【けい酸塩系表面含浸材】が浸透し難いコンクリートの例として「電柱」があります
【けい酸塩系表面含浸材】は液体材料です。水が浸透しない様な緻密なコンクリートには、【けい酸塩系表面含浸材】も含浸・浸透できません。電柱試験体での透水量試験では、7日間の透水量が1.0 mL未満であり、【けい酸塩系表面含浸材】も当然含浸・浸透できないと思われます。
電柱試験体での透水量試験
1. 試験方法
4分割した電柱試験体(遠心成形)を用いて、JSCE-K 572に準じて7日間の透水量試験を実施した。
試験は2回行った。2回目試験は、1回目試験終了から7日間試験体を乾燥させた後に開始した。
【電柱試験体】
【透水量試験器】
【透水量試験状況】
2. 試験結果
7日間経過後の透水量を表2に示す。
【電柱試験体】
2回の試験両方で7日間の透水量が1.0 mL未満と非常に少なく、電柱試験体には水が浸透し難いことが確認された。
液状材料である【けい酸塩系表面含浸材】も同様に電柱試験体に含浸・浸透できないと思われるので、【けい酸塩系表面含浸材】を電柱(遠心成形)に適用しても改質(緻密化)することは難しいと思われる。