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04.けい酸塩系表面含浸材の水掛かり・ひび割れ部への適用性
加圧透水性試験・ひび割れ透水性試験

けい酸塩系表面含浸材の水掛かり・ひび割れ部への適用性

【けい酸塩系表面含浸材】は水掛かり・ひび割れ部への適用性が高い材料です

加圧透水性試験・ひび割れ透水性試験で効果を確認している材料をお役立てください

 



 


【けい酸塩系表面含浸材】で予防保全的に水掛かり・ひび割れ部の対策を行うことで、コンクリート構造物の長寿命化が期待できます。コンクリート表層部を緻密化し改質するという“唯一無二”の特徴が、水圧環境下での改質効果発揮や、0.2 mm以下のひび割れの閉塞を可能にしています。


 


0.2 mm以下のひび割れは本来補修対象とされていませんが、0.2 mm以上のひび割れ補修工事と同時に、ひび割れ周辺部に【けい酸塩系表面含浸材】を塗布することで、潜在的な補修対象の0.2 mm以下のひび割れを閉塞できライフサイクルコストの低減が期待できます。


 


既設コンクリート構造物には【固化型けい酸塩系表面含浸材】、新設コンクリート構造物には【反応型けい酸塩系表面含浸材】をそれぞれ使い分けてインフラ長寿命化にお役立てください。


水掛かり(水が滞留する箇所)

水の作用がコンクリート構造物の劣化の発生や進行を助長する場合があります

【けい酸塩系表面含浸材】は、水掛かりへの適用性が高い材料です

近年水掛かりに対する意識が高まっています。


土木学会「2022年制定コンクリート標準示方書[維持管理編]」では、1編「劣化機構」3章のタイトルを「中性化」から「中性化と水の浸透に伴う鋼材腐食」に改めています。


 


構造物の水掛かりの例


桁受け部・電架柱受けはり部・高欄地覆部、張出しスラブ・床版ひび割れ部


橋台の桁受け部・トンネル坑口・カルバート ボックスの側面


 


加圧透水性試験【土木学会規準JSCE-K 572】


【けい酸塩系表面含浸材】の水圧環境下での有効性の確認試験です。


【シラン系表面含浸材】の試験方法JSCE-K 571に規定されていない、【けい酸塩系表面含浸材】独自の試験項目です。


 


設備を保有している機関が限られている試験です。


当社は(一財)建材試験センターに委託。


 


【試験方法】


試験体を透水試験用圧力容器に設置し、透水試験用圧力容器の上部の空間に水を注入し、窒素ガスを用いて水圧0.5 MPaを48時間加圧します。48時間経過後試験体を割裂し、水の浸透深さを無塗布試験体と塗布試験体で比較します。


 



 


 


水の浸透深さが、【けい酸塩系表面含浸材】を塗布することにより浅くなっており、水圧環境下で有効なこと(水掛かりで有効なこと)を示しています。


ひび割れ部

【けい酸塩系表面含浸材】は、ひび割れ部への適用性が高い材料です

「コンクリートの変状は、そのほとんどがひび割れから始まる。」

出典:国立研究開発法人土木研究所.コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル2022年版.2022年.I-18.2.3補修工法の種類より


 


ひび割れ透水性試験【土木学会規準JSCE-K 572】


【けい酸塩系表面含浸材】のひび割れ閉塞性の確認試験です。


【シラン系表面含浸材】の試験方法JSCE-K 571に規定されていない、【けい酸塩系表面含浸材】独自の試験項目です。


 


【試験方法】


手順1. 0.2 mm以下のひび割れの導入


原状試験体をVU管に挿入し、底面および隙間をエポキシ樹脂で充填し、50 mmの長さに切り出し、載荷試験機を用いて載荷し0.2 mm以下の貫通するひび割れを導入します。


 


手順2. 【けい酸塩系表面含浸材】塗布


ひび割れを導入した試験体に【けい酸塩系表面含浸材】を塗布します。


(加圧する側の反対面に塗布)


 


手順3. 水頭圧1 mを作用させての透水量試験


水頭圧1 mを作用させることができる試験装置を用いて、14日間透水量試験行い、透水量を無塗布試験体と塗布試験体で比較します。


 



 


ひび割れ透水性試験結果の比較


土木学会「けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)」より



 


【けい酸塩系表面含浸材】は、透水量が【無塗布】よりも大幅に減少しており、ひび割れの閉塞性があること、ひび割れ部に有効なことを示しています。


【シラン系表面含浸材】は、透水量が【無塗布】よりも多く、悪化しており、ひび割れ部に有効でないことを示しています。


農林水産省「農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル【開水路編】」より

 



 


開水路 = 水と接するコンクリート構造物


 


農林水産省の開水路補修マニュアルは、けい酸塩系表面含浸工法を対象としています。


【シラン系表面含浸材】が適用不可となる条件として「接水部」が規定されています。


北海道開発局「道路設計要領」より

3.シラン系表面含浸材


3.1 適用範囲



【解説】


1)について


表面被覆および表面改質技術研究小委員会報告書によると、シラン系に期待される効果は、表1のように整理されている[3]。これによると、新設では効果が概ね期待される見解が示されている。既設は劣化が著しい構造物への適用は困難で、劣化の程度によっては効果が期待される場合もあるようだが、データは未だ少ない。このことから、当面は新設構造物および打換えられた直後の部材への適用を標準とした。


 



 


2)について


コンクリートの空隙は充填されないことから、水が強制的に圧入されるような環境下では、期待する効果が得られない場合がある。このため、適用はできるだけ避ける。


出典:北海道開発局.道路設計要領 第3集 橋梁 第2編 コンクリート橋 参考資料B.道路橋での表面含浸材の適用にあたっての留意事項.2023年.3-コ B-5.3.シラン系表面含浸材より


 


 


5.3橋座面



【解説】


橋座面は水分が滞留しやすい部位であるため、シラン系の適用は基本的には厳しい。けい酸塩系は改質の速度は緩慢ではあるが、水分の滞留は組織のち密化にプラスの効果をもたらす。橋座面は人目につきにくい部位であるので美観が問題視されるケースは少ない場合が多い。しかしながら、凍害の進行(発生ではない)による断面欠損は抑制すべきである。このことから、けい酸塩系が望ましいと言える。


出典:北海道開発局.道路設計要領 第3集 橋梁 第2編 コンクリート橋 参考資料B.道路橋での表面含浸材の適用にあたっての留意事項.2023年.3-コ B-18.5.各部材への施工より


 


【けい酸塩系表面含浸材】について、水分が滞留しやすい部位への適用性があるとしています。具体的な適用箇所として橋座面が例示されています。


【シラン系表面含浸材】について、水が強制的に圧入されるような環境下での使用を避けること、ひび割れ発生後には「効果を期待するのは困難な場合がある」あるいは「効果が期待できない」、「損傷の程度によっては効果が小さい」と案内があります。具体的な適用箇所として地覆・剛性防護柵、主桁が例示されています。


まとめ

【けい酸塩系表面含浸材】は水掛かり・ひび割れ部への適用性が高い材料です

水掛かり・ひび割れ部への表面含浸材の適用を検討する際は、加圧透水性試験、ひび割れ透水性試験で効果を確認している【けい酸塩系表面含浸材】をお役立てください。


 


当然のことですが、けい酸アルカリ金属塩を成分に含んでいても、成分の配合や塗布量によって改質効果に差が生じるので加圧透水性試験、ひび割れ透水性試験結果を考慮して材料を選定する必要があります。


 


既設コンクリート構造物には【固化型けい酸塩系表面含浸材】、新設コンクリート構造物には【反応型けい酸塩系表面含浸材】をそれぞれ使い分けてインフラ長寿命化にお役立てください。


 


 


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