01.けい酸塩系表面含浸材の定義と他の呼称
【けい酸塩系表面含浸材】の定義
土木学会「けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)」より
けい酸塩系表面含浸材
けい酸塩系表面含浸工法において使用する、けい酸アルカリ金属塩を主成分とする液状材料。コンクリートに含浸し、水酸化カルシウムと反応してC-S-Hゲルを生成し、コンクリート表層部を緻密化する等して改質させる機能を有する材料。
けい酸塩系表面含浸工法
所要の性能を発揮するけい酸塩系表面含浸材をコンクリート表面から含浸させ、コンクリート表層部の空げきを固化物あるいはコンクリート中の水酸化カルシウムと反応させたC-S-Hゲルで充てんすることにより、コンクリートの耐久性を向上させる工法。
固化型けい酸塩系表面含浸材
主成分の一部は初期には反応も起こすが、その後未反応のままコンクリート中に残存している主成分が、乾燥により固化し、難溶性を示すけい酸塩系表面含浸材。
反応型けい酸塩系表面含浸材
未反応のままコンクリート中に残存している主成分が、乾燥後も可溶性で、水分が供給されると再び溶解して水酸化カルシウムと反応する性質を示すけい酸塩系表面含浸材。
出典:土木学会.けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案).2012年.6頁1.3用語の定義より
【けい酸塩系表面含浸材】の様々な呼び方
「この呼び方の材料は【けい酸塩系表面含浸材】でしょうか?」
というお問い合わせを多く頂きます
我が国では1970年代から利用され始めたという【けい酸塩系表面含浸材】には、様々な呼び方があります。土木学会より2005年に「表面保護工法設計施工指針(案)」、2012年に「けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針」(案)が刊行され【けい酸塩系表面含浸材】という呼称が徐々に定着してきましたが、まだまだ他の呼び方をされることがあり混乱を招いております。
【けい酸塩系表面含浸材】として扱われることのある呼称の例
以下の例は、土木学会の正式な区別ではありません。必ずしも【けい酸塩系表面含浸材】の定義に合致する材料を指すものではありません。別の材料を指す場合も大いにありますのでご注意ください。例示した呼称でもけい酸アルカリ金属塩を成分に含まない材料も存在します。
・浸透性固化材(剤)
・浸透性防水材(剤)
・コンクリート改質材(剤)
・コンクリート保護強化材(剤)
・コンクリート劣化防止材(剤)
・コンクリート素地固化材(剤)
・高分子系浸透性防水材(剤)
・高分子系コンクリート含浸材(剤)
・浸透性コンクリート改質材(剤)
・浸透性コンクリート保護材(剤)
・浸透性コンクリート強化材(剤)
・無機系コンクリート改質材(剤)
・無機系コンクリート表面含浸材(剤)
・無機質コンクリート浸透性防水材(剤)
・アルカリ付与材(剤)
・リチウムイオン系改質材(剤)
・ケイ酸塩系コンクリート改質材(剤)
・ケイ酸質系浸透性コンクリート改質材(剤)
・ケイ酸質系防水材(剤)※主に粉体の材料を指すことが多いです
・コロイダルシリカ系表面含浸材(剤)※コロイダルシリカはけい酸ナトリウムのことを指します
・シリケート系表面含浸材(剤)※けい酸塩系表面含浸材の英訳:silicate-based surface penetrants